「今日もいい天気だな」
「そうだな、兄貴。星がよく見えそうだ」
竹田兄弟のプリーザントビューでの生活が今日からスタートです。
引越しのお祝いに、カリエンテ家のお嬢さんが駆けつけてくれました。
竹田兄、女性は放って置けません。
早速くすぐって親睦を図ろうとしますが、
「なにするのよ」
断られました。
当然です。
もう一人は、須々木家の章吾父さん。
あいさつもそこそこに、家の奥のチェス盤に直行しました。
竹田兄弟と会話しないんですか?
もう一人は、崎元家の祐さんです。
竹田弟は、黙々と料理の勉強中。
須々木家の素也君が通りかかったので、和男さんに呼び止めてもらいました。
和男兄、相手が男だとやる気なさげです。
と、家に入るなり、テレビを見ていた祐さんが、素也君に強い口調で何か言いました。
素也君、突然のことにとまどいます。
そして泣きました。
「突然なんだよ。僕が何をしたんだー」
さらに祐さん。
「おや、ここになにかついてますよ」
ビシ!
「ふがっ」
うつむいた素也君の鼻先を弾きました。
まんまと引っ掛かった素也君、祐さんに笑われます。
内気な素也君もやられてばかりではありません。
「あれ、ここどうしたんですか?」
「なに?」
ビシ!
「むがっ」
「やーい、同じ手にひっかかった」
祐さん……あなたバカです。
「なにすんだよ!」
祐さん怒りました。素也君を怒鳴りつけます。
「なんだよ! やりかえしただけじゃんかー!」
素也君、また泣かされました。
章吾父さん、息子を助けてあげてくださいよ。
章吾父さん、まだチェスをしていました。
「じゃ、私はこれで!」
そして、颯爽と帰っていきましたよ。
あんた、何しに来てたんですか。
「兄貴、友達できたか?」
「ニーナさん、所帯持ちだってさ」
夕食までご馳走になった素也君。
今日は散々な日でしたが、竹田弟と仲良くなったみたいです。
内気な彼が、亮さんにジョークを聞かせています。
なかなか受けている様子。
気を良くした彼、さらにジョークを連発。
そんなにジョーク好きだったんですか。ちょっと意外。
まあ、あのお父さんの血を引いてますから、奇想天外な行動はしょっちゅうかもしれません。
しかし、寝室に寝に行こうとしていた亮さん、
「もう分かったから、いい加減帰れお前」
朝です。
兄の和男は明け方にゴルフキャディーの仕事に出かけました。
亮さんは優雅に一人で朝食です。
「そういや、俺まだ無職だっけか」
「なんか儲かる仕事ねーかなー」
やる気はなさげです。
昼に星は見えないけどと思って、天体望遠鏡をのぞかせてみました。
どうやらモティマーさんが見えたようです。
って、それ覗きですが!?
「うっしっし。あの町の名士がねーぇ」
「ふーん」
「ああっ! あの噂は本当だったんだ!?」
モティマーさんの色々な秘密が見えるみたいですよ。
モティマーさんといえば、カリエンテ姉妹との浮いた話もありますし。
覗きも飽きたので、チャットをしようとパソコンをつけたら、あらら。
亮さん、壊してしまいました。
火花が散って、非常に危険な状態です。
早速、修理業者を電話で呼ぶことにします。
「あ、もしもし~。パソコンの修理を頼みたいんだけど」
亮さん、後ろ。
誰か来てます。
「わしの家をのぞいておったのは貴様か!」
「ええっ!?」
猛ダッシュで竹田宅に駆けつけたモティマーさん。初訪問です。
亮さんを強く突き飛ばしました。
天体望遠鏡でのぞいてたんですよ? モティマーさん、あなたの眼力は何倍率ですか。
「まったく朝っぱらからぶらぶらしとる奴が!」
すごい勢いで怒ってますよ、亮さん。
「そこまで言わなくたっていいじゃないですかぁー」
泣いてしまいました。
この後、モティマーさんは肩を怒らせたままお帰りになりました。
竹田兄が仕事から帰ってきました。
そして向かう先は天体望遠鏡。
「いっしっし」
悪い笑顔です。
やっぱりあなたも覗きですか。
「おおっ」
竹田弟とは別のものが見えている様子。
その時、家の前をエアリスが通りかかりました。
すかさず和男さん、彼女を捕まえました。
「私、道に迷ってるんです」
「僕の家に町内地図がありますよ。あがっていきません?」
家の中では亮さんが筋トレしてました。
彼は手っ取り早くお金を稼ぐべく、銀行強盗を目指して犯罪家業に就職したようです。
「結構体にこたえる仕事らしいから、今から訓練しておかないと」
和男さんは、リクライニングチェアでゆったりとテレビ鑑賞。
ここは彼の特等席になりつつあります。
日が暮れて、和男さんはパソコンでチャットです。
「ええっと、相手は悠子さんって人かー。美人なら会ってみたいなー」
さて、亮さん。
ようやく本来の趣味、星の観測を始めたようです。
「きれいだな。心が洗われるよ」
そうそう。それが本来の使い方ですよ。
亮さんご満悦です。
この後、和男さんも望遠鏡を覗いて、竹田兄弟は就寝です。
竹田兄弟、ほっとくと枕たたきをしたりくすぐりあったりと、結構仲がいいです。
今日も今日とて、晩には天体観測。
もちろん、弟の亮さんも。この人はチャットのほうが好きみたいですが。
昼は昼で、この人にもそれなりの趣味があります。
犯罪稼業についた彼にとっては、覗きも仕事の下調べに必要なんです! と強調してみる。
和男さんもノリノリでMP3プレーヤーで音楽を聴いています。
朝晩遊んでばっかりみたいですが、二人ともちゃんと仕事についていますよ。念のため。
さて、ロマンス願望の和男さん、今晩はかねてより目をつけていた佐田家家の悠子ママを家に招待しました。
この間、佐田家家に招待してくれたお返しです。
「和男さん、聞いてちょうだいよー。うちの透ったらねー」
悠子さん、いきなり噂をはじめました。
「この間料理してて、スパゲティーのソースをまた焦がしちゃったのよー。相変わらず不器用で困るわー」
コンロが炎上したんですから、焦げる程度ではすまなかったと思いますが。
それを聞く和男さん。驚きすぎです。
弟亮さんは仕事で留守なので、和男さんは悠子さんと二人っきり。
すかさず甘く囁いて、落としにかかります。
悠子さん、まんざらでもなさそう。
そして、ハートが出ました!
和男さん、事がうまく行き過ぎたのがちょっと意外です。
人妻だから、もうちょっと難しいかと思ったのですが。
悠子さんの辞書には貞操という言葉はないようです。
和男さん、熟女の匂い立つような色香にもうメロメロです。
でも悠子さんは人の妻。
旦那さんにばれると大変なことになります。
この夜のことは胸の奥に秘め、二人はしばらく距離をおくことにしました。
どちらが誘われたのか分からない夜でしたが、とりあえずロマンス願望を満たし、和男さん大満足で天体観測を行うのでした。
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